投資をはじめようとするとき、どのタイミングではじめるか迷ってしまう人が多くいます。特に手元にある程度まとまったお金があるときには、一度に投資するのか、分割して積立投資するのか迷うことでしょう。初心者には時間分散が効く積立投資がオススメと言われますが、本当なのでしょうか。2つの両極端な価格パターンを想定し検証してみましょう。

【パターン①】価格の下落が続き、その後回復するパターン

まずはじめに投資を始めた後、価格の下落が続き、その後価格が回復するパターンで計算してみましょう。

一括投資

仮に、1口1万円のときに手元にある100万円を一度に投資したとすれば、購入口数は100口です。もしグラフの価格パターン①のように値動きをした場合、1口5000円まで値下がりしたときには評価金額は50万円になり、50か月後に6000円に回復したときに売却したとすれば売却金額は60万円。つまり40万円の損失となります。

積立投資

毎月2万円ずつの投資を50か月続けた場合も投資合計は100万円です。毎月2万円ずつ投資すると、購入口数は、1口1万円のときは2口購入、1口5000円のときは4口購入することになります。このように積立投資を続けていくと50か月後の保有口数(=合計購入口数)は約185口になる計算です。50か月後に1口6000円に回復したときには約111万円になり約11万円の利益になります。

「一括投資」では40万円もの大きな損失が出たのに、「積立投資」では約11万円の利益が出ました。なぜ結果が違ったのでしょうか?

一括投資した場合の保有口数は100口のまま変わりませんが、積立投資では同じ100万円の投資で185口も購入できています。売却時の単価は1口6000円で変わらないので、この口数の差が大きなポイントなのです。

【パターン②】価格の上昇が続き、その後下落に転じるパターン

では、次にパターン①の逆、投資を始めた後、価格の上昇が続き、その後価格が下落に転じるパターンで同じように計算してみましょう。

一括投資

1口1万円に100万円投資すれば100口投資できます。その後価格パターン②のように1口1万4500円まで値上がりし、そろそろ売却しようかどうか迷っていたところに突然急落。1口1万1000円まで下落したところですべて売却したとすれば売却金額は110万円。売るタイミングはあまり良くなかったのかもしれませんが、結果的に10万円の利益が残りました。

積立投資

一括投資した場合と同じタイミングで積立投資をスタートし、毎月2万円ずつ50か月間積立投資を続け100万円投資します。価格パターン②のように推移すると、購入できたのは約77口です。1口11000円まで下落したときに売却したとすると約85万円となり、約15万円の損失となります。

このように、価格パターン②では一括投資が10万円の利益、積立投資が約15万円の損失となり価格パターン①と逆の結果となりました。これは、積立投資をスタートしてから値上がりが続くと、毎月の2万円で購入できる口数が減っていき、採取的に購入できた口数が合計約82口と少なくなってしまったのが原因です。

値下がりが予想される局面こそ積立投資の出番

実際の相場では値上がりと値下がりを繰り返しながら価格は推移するので、ここで取り上げた価格パターンのように単純な動きではありません。また、下落の後、価格が回復することが前提条件です。値下がりしかしないなら、普通の投資では利益を出すことができません。

ただ、ここで検証したように、一括投資に比べ積立投資の強みが発揮される局面は、値下がり局面にあることがお分かりいただけたと思います。これから値下がりが予想される時期は、投資を始める勇気がなかなか出ないものです。また、実際に値下がりが始まると、怖くなって積立投資を止めてしまう人も多くいます。ここで検証したように、値下がりが始まる時期ならば、積立投資を始めるチャンスです。また、値下がりが続く時期は不安が募りますが、次の回復期に備え勇気を持って積立投資を継続していきましょう。