一般的に「投資」といえば、株式投資をイメージする人が多いでしょう。一方で、プロ投資家の世界ではメジャーではあるものの、一般投資家にはあまりなじみがないかもしれないのが債券投資です。

実は使い方によっては債券もとても魅力ある投資商品になります。今回は、債券投資の基本的な特徴や活用法についてみていきましょう。

株式投資は株価の変動が大きい

株式とは、株式会社への出資持分を表すものです。株式に投資すればその企業に出資し、株主になります。企業はその資金で事業活動を行い、利益が出ればその一部を配当金としてもらうことができます。また、私たちが一般的に売買することができる株式は、株価が日々変動します。株式を買った後に、業績が向上するなどで株価が上がれば利益を得ることができます。逆に業績が悪化するなどで株価が下がれば損をすることになります。

このように株価は業績変動の影響を大きく受けますが、株式の需給関係など業績以外の様々な要因もあり、株価は大きく変動する傾向にあります。数年間で株価が何倍にもなるケースもあれば、僅か数か月で半分以下になってしまうケースもあります。

債券投資は比較的値動きが緩やか

一方、債券とは、国や自治体、企業などが資金調達するときに発行する借用証書のようなものです。債券を購入すれば、その国や企業にお金を貸している債権者になります。ほとんどの債券は、予め利息がもらえる時期や満期になる時期も決まっており、満期になれば貸した先から額面金額が戻ってくる(償還)仕組みになっています。一般的に、お金を貸す先が国であれば国債といい、企業であれば社債といいます。

株式は満期がなく、換金するためには取引所を通じて売却しなければなりません。一方で、債券はほとんどの場合で満期があり、満期日(償還日)には貸した先から額面金額が戻ってきます。さらに満期を迎える前であっても、売却すれば時価で換金することができます。

株式であれば、投資した企業の利益が大きくなれば、株価は大きく上昇するでしょう。しかし、債券の場合は、貸した企業の業績が良くなっても、お金は額面でしか戻ってきませんし、予め決められた利息しかもらえません。

逆に、業績が悪くなった場合は、株価は下落するでしょうが、債券の場合は貸した企業が破綻するようなことがない限りお金は返ってきます。このように債券は将来もらえるお金の見通しが立てやすい分だけリスクが小さく、値動きは株式よりも比較的小さくなるのです。

満期前の売買もできるのが債券投資の醍醐味

債券は満期になれば額面金額が戻ってきますが、満期前に売買することも可能です。満期までの期間は、債券の価格は市場金利や満期までの残存期間などにより変動します。一般的には市場金利が上昇すれば債券価格は下がり、市場金利が下落すれば債券価格は上昇します。また、満期までの残存期間が長いほど価格変動が大きく、満期に近づくほど価格の変動は小さくなります。このため、残存期間が長く残っている時期に、市場金利が低下していけば債券価格が大きく上昇します。逆に市場金利が上昇すれば投資元本を割ってしまうほど債券価格が下がるケースもあります。

こうした債券ならではの特徴を活かし、市場金利の見通しによって投資する債券を選びましょう。例えば、金利が低下する局面では満期までの期間が長い債券、または長期債に投資している投資信託を選ぶとよいでしょう。また、金利上昇局面であれば満期までの期間が短い債券や、こうした短期債を多く組み入れた投資信託を選ぶのがベターと言えるでしょう。

債券投資には特有のリスクがある

債券投資はお金を貸す行為ですから、お金を貸す相手方の信用力が重要です。信用力が高い相手であれば金利は低めになり、低い相手であれば金利は高くなるのが一般的です。たとえ、債券を買った時には信用力が高くみえたとしても、満期までの期間が長ければ満期を迎える前に破綻することもあるかもしれません。そうなれば、貸したお金のほとんどが戻ってこないかもしれません。債券投資する場合に最も注意すべきリスクです。

また、外国債券に投資する際には為替変動のリスクがあります。また、投資対象の国の政治や経済が混乱することで発生するカントリーリスクなどにも注意する必要があります。債券にはさまざまな種類があり、中には利息が高い一方で株式に匹敵するくらいリスクが大きい債券もあります。それぞれの商品の特徴を理解し、注意しながら検討しましょう。