「資産運用」と言えば、株式投資、債券投資、為替取引(FX)、不動産投資、投資信託などなど、さまざまな種類の方法があります。それぞれに違った特徴があるので、人によって向き不向きがあるだけでなく、好き嫌いもあるでしょう。

資産運用は資産を増やすことを目指すわけですが、お金持ちと言えばどんな運用をしているイメージでしょうか。恐らく多くの人が「大家さん=資産家」というイメージを持っているのではないでしょうか。サラリーマン大家さんという言葉が流行したように、先祖代々の地主さんだけではなく普通の会社員も不動産投資をする時代です。不動産というと高額でハードルも高く感じますが、どうして不動産投資はこんなに支持されるのでしょうか。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン

さまざまな資産運用をリスクとリターンの面から分類して、よくこのように表現されます。

預貯金はローリスクですが、ほとんど利息がつかないローリターンの運用方法です。そして、株式投資はハイリスク・ハイリターンの運用方法。1年で倍になることもありますし、1年で半値になっても驚きません。単純にハイリターンというと大きく儲かることばかりのような感じですが、実際には大きく損をする可能性もある資産運用方法です。

そして、何と言ってもハイリスクの投資は高倍率のレバレッジをかけることができるFXです。FXもよくハイリスク・ハイリターンに分類されていますが、多くの人にとって投機的な運用方法です。

預貯金にいくら預けても利息はほとんどつかないし、かといって株式投資は怖いし…、という人は多いものです。そんな中、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの資産運用で比較的取り組みやすい特性を持っています。また、不動産という実物資産に投資するので所有の喜びも感じることができます。大家さんになることへのあこがれもあるかもしれません。こうした他の投資にはない独特の魅力を持つのが不動産投資なのです。

家賃収入が不動産投資の醍醐味

資産運用の利益は①インカムゲイン(利息収入など)と②キャピタルゲイン(値上がり益)の組み合わせです。インカムゲインかキャピタルゲイン、期待できる利益がどちらかに偏る運用方法が多い中、不動産投資では両方の利益を期待できるのが魅力です。

毎月ある程度まとまった家賃が入ってくるのが不動産投資の醍醐味ですが、まさにこの家賃収入がインカムゲインです。また、ここ10年近くは都市部を中心に、日本でも不動産の値上がり傾向が続いており、売却益(キャピタルゲイン)を得た人も多くいます。売却益を得られるかどうかは時の運のような部分も大きいので、家賃収入を着実に積み上げていくスタイルの投資家が多く見られます。

また、不動産の売買には不動産仲介手数料や、融資や登記にかかる費用、税金などの費用がかかります。売買コストが高いことからも、短期で利益を狙うのではなく、5年以上の長期で運用するのに向いた運用方法です。

不動産投資で成功するためのポイント

では、不動産投資で成功するためにはどんな条件が必要なのでしょうか。不動産の収益源である家賃収入と売却益からそれぞれ考えてみましょう。

家賃収入はロケーションと空室率によって大きく左右されます。空室率は貸室の需要と供給のバランスによって変化します。人口が増加していれば空室率は低くなりやすいですが、物件供給ペースが速ければ逆に空室率が高くなることもあります。空室率が低くなれば家賃も高くなりやすくなります。空室率が高ければ家賃が安くなるだけでなく、敷金や礼金なども取りにくく、家賃を一定期間無料にするフリーレントも必要になるケースも多くなります。家賃収入を考えるには空室率以外にも、管理費や保険料など運営コストの水準も重要な要素です。

次に売却益を得るには買ったときよりも値上がりしていることが必要です。不動産は土地だけで売買されるケースもありますが、多くの場合では建物付きで売買されます。日本では建物は古くなれば価値が減るのが一般的な考え方です。それなのに値上がりしないと売却益を得ることができません。

不動産の値上がりが発生するにはいくつかの要因があります。一つは不動産の需要と共有のバランスです。人口が増えていけば不動産が不足しやすくなるだけでなく、経済も成長しやすいので、不動産が値上がりしやすい環境が発生します。次に物価上昇です。経済が成長し物価が上昇すれば不動産も値上がりしやすくなります。また、現在のように世の中に出回る通貨の量を増やす政策が取られている時期には、通貨の価値が下がることで不動産のような資産が値上がりしやすくなります。最後に景気循環です。不景気の時期には不動産は値下がりしやすく、好景気になると値上がりしやすくなります。つまり、不景気の時に購入し、好景気になったら売却する。こうすることで値上がり益を得やすくなります。

不動産投資するなら海外にも目を向けよう

では、こうしてみると不動産投資を成功させるには人口の動向はとても重要であることがわかります。日本は2008年をピークに人口の減少トレンドが続いています。それだけでなく、今後さらに減少スピードが速くなると予想されています。地域を分けてみるとまだまだ人口が増えている地域もありますが、地方や郊外を中心に人口の減少が目立ちます。

日本での不動産投資にはチャンスがないのかと言うと、そういうわけでもありません。都心の一部を中心に価値を保ち続ける不動産はありますが、一方で急速に価値がなくなっていく不動産も多くみられるようになる。つまり、勝ち組と負け組に2極化していくと予想されるのが日本の不動産投資です。さらに、日本は基本的に物価の下落傾向が続いていることも、不動産投資には厳しい環境です。

海外に目を移すと環境は変わります。たとえば、米国は代表的な先進国ですが、人口が増え続けています。また、家賃をはじめとした物価も上昇傾向が続いています。不動産価格もサブプライムショック後に一時的に下落しましたが、再び上昇傾向となっています。まさに、不動産投資には理想的な環境が米国にはあります。

もちろん、米国以外にもよい不動産投資の環境の国は存在します。ただ、私たちは外国人として投資をすることになりますので、日本で不動産投資するよりも難易度が高く感じるかと思います。所有権を取得できるかといった外国人に対する規制の有無、また信頼して売買取引や管理をすることができるパートナーの存在、信用できる不動産取引の仕組みの有無など、投資環境が整っていることが必要です。また、何より現地とのコミュニケーションに問題がないことも重要です。

不動産投資は魅力の多い運用方法ですが、あなたのイメージする不動産投資は国内にはないかもしれません。お金も国境を越えて活躍する時代です。よりよい投資環境を求めて海外での投資も選択肢に入れて検討してみましょう。